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​気候変動と森林・樹木成長の関係を探る

【研究対象】

 森林資源として最も重要な木質に着目し,木質を形成する肥大成長への環境変動の影響を明らかにします。

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 気候変動が肥大成長におよぼす影響評価 

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国内多地点におけるスギの気候応答比較

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温暖化によって樹木の生長はどう変化するのか?

 今後進行する気候変動に伴う肥大成長の変化を予測するため,年輪に記録された情報を解析し気候応答を明らかにします。

 最も主要な樹種であるスギやヒノキでは,冬〜春の気温の上昇が成長量の増加につながることがわかってきました。一方,コナラやダケカンバなどの落葉広葉樹では,秋の高い気温が翌年の成長に抑制的に働くようです。

 成長期以外の気温の重要性が明らかになってきています。

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周極域における

永久凍土の分布と調査地

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永久凍土上に成立する森林の将来を予測する

 大きな気候変動が予測されている北方林は多くが永久凍土上に成立しています。様々なタイプの森林における成長の気候応答を年輪を用いて調べます。

 シベリアでは春の気温が促進的にはたらいているのに対して,アラスカでは抑制的にはたらいていました。モンゴルでは,乾燥地にもかかわらず湿潤な天候が成長を抑制する場所があることが示唆されました。

 いずれも,凍土の存在が重要なこと,立地や樹種によって影響が大きく異なることを示唆しています。

 肥大成長メカニズムの解明 

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スギの年輪構造の変動要因

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成長期間や年輪構造の変動要因をさぐる

 形成層活動や葉のフェノロジー(植物季節)観測や,軟X線デンシトメトリによる年輪構造の測定を行います。木部の形成を,細胞の分裂⇨拡大⇨細胞壁肥厚の結果として捉えることで,環境応答のメカニズムを明らかにします。

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光合成産物の行方を追跡する

 安定酸素同位体(18O)や安定炭素同位体(13C)をマーカーとして,光合成産物の転流や木部形成への配分を追跡します。始めたばかりですが,季節による変動が大きいことや前年の年輪にも使われていること(!!)が示唆されています。

 年輪情報を用いた気候復元 

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キタゴヨウ,コメツガ,スギより復元した富山の過去370年間の8-9月の気温

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過去の変動は将来予測に必要

 年輪の幅や密度には過去に受けた気候変動の影響が記録されています。高樹齢の樹木や出土材を用いて国内各地の過去の気候変動を目指します。

 中部山岳では江戸時代の夏の気温を復元しました。現在,北海道から中部に至る地域を対象に長期年輪時系列を作成し,気候復元を目指しています。

 過去の社会の動きとの対応を歴史学者とともに考えています。

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